吹付断熱とは

吹付断熱とは、断熱素材を屋根や天井、壁、床へ直接吹き付ける断熱方法のことです。使用される断熱材は発泡ウレタンと呼ばれています。液状の素材を霧状に吹き付けることで発砲・硬化させ、 スポンジ状に変化します。 壁などに付着した発泡ウレタンには細かい気泡が生成され、その細かい気泡に空気をためることにより断熱性能が高まります。吹付断熱は、細い隙間にも断熱材を吹き付けることができるため、また接着性が高いため高い気密性を確保できます。今回は、 吹付断熱のメリットデメリットについてお伝えします。

 

★メリット

①断熱性が高い

吹付断熱は、素材が硬質ウレタンフォームのため断熱性能が高いです。硬質ウレタンフォームは住宅だけではなく、 冷蔵庫や自動販売機、宇宙ロケットにまで使用されるなど断熱性能が高い材料です。

②気密が取りやすい

柱や梁などにしっかりと接着されます。 筋交いがあるところなど、隙間があるところでもぴったりと埋めて施工ができますので、気密性能が高くなります。当社では、気密試験としてC値測定を行います。C値の目標数値は1.0以下を目指します。

③遮音吸音に効果を発揮

硬質ウレタンフォームは、その素材の中に細い空気の層がたくさん入っているため、断熱性の向上とともに、遮音性や吸音性にも優れています。

④壁内の結露やカビが発生しにくくなる

吹付断熱は、一定の透湿抵抗によって内部結露が起こりにくくなります。自己接着力を持ちますから、壁に吹き付けた後ずれたりすることがありませんので断熱性能を維持します。内部結露が起こりにくく、形状変化もありませんのでカビが発生しにくくなります。 

★デメリット

①費用が高い

グラスウールに比べ、 費用が高くなります。建物の形状によっては、現場の吹き付け費用がより高くつくこともありますので、グラスウールと比較される場合、費用をよく確認したほうがよいです。

②施工品質にばらつきがある

職人の腕で性能が変わるといったことも考えられます。十分な厚みを確保できないと、想定された断熱性能が得られません。施工技術が未熟で隙間ができてしまうような施工であると、 断熱性能はもちろん気密性能も低下してしまいます。気密性能は気密試験を行わないとしっかりしたデータで判断は出来ませんので、気密性能が気になる方は、気密試験を実施している当社にご依頼ください。施工品質にかかわってくるのが、スキンカットです。スキンカットとは、吹き付け施工した後に、吹き付けしすぎた余分に室内側に出た発泡ウレタンを削り取る作業のことをいいます。 吹き付け断熱した場合、表面にはスキン層という吹き付けた後にできる、つるっとした層があります。 このスキン層が防湿層になって壁体内に湿度が入らないようになります。あまり吹き付けが上手でないと、 規定以上に吹き付けてしまい後からスキンカットをたくさんしなくてはならなくなります。スキンカットをすると防湿層が剥がされ、透湿しやすくなってしまいますから、品質が落ちてしまいます。 

③熱伝導率はグラスウールと大差がない

近年普及し始めた吹付断熱ですが、性能が高いと思われている方が多いと思いますが、実は吹き付けタイプの発泡ウレタンは、工場などで作るボード系の硬質ウレタンフォームほど高い断熱性能はありません。 断熱材としての性能は、標準的なグラスウールと大差はありません。

吹付断熱   アクアフォーム    熱伝導率 0.036w/(m・k)

グラスウール アクリアネクストα 熱伝導率 0.034w/(m・k)

※w/(m・k)は「ワット」といいます。熱伝導率の単位です。低いほど高性能評価です。

④接着性が高いため解体時にすべてが産業廃棄物になる

吹付断熱をした住宅の解体は、分別処理することが難しくなります。自己接着性が高いのが吹付断熱の大きな特徴のひとつですが、接着性が高いため木材と発泡ウレタンの分別が難しくなるのです。 木材と発泡ウレタンがきれいに分離できれば、木材は再利用できる可能性があります。しかし木材に発泡ウレタンがこびりついてしまうと、 その木材は産業廃棄物として処理するしかなくなってしまいます

 

最近、吹付断熱を採用している住宅会社が多くなってきました。選択肢が多いのは良いことだと思いますが、吹付断熱・グラスウール、 そのメリットデメリットをよく考慮して採用していただきたいと思います。断熱方法で依頼する住宅会社が変わるかもしれません。

施工動画をアップします。

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